3/25 復活しました。僕は元気でもないです。

2007年01月09日

小説書いてみました第5弾



僕は走った。あの子を助けなければ、と。


僕はあの少女が好きだった。いつも笑顔で僕にくっ付いて来てくれるあの少女のことが好きだった。年はいくつ位なのだろう。幼稚園か、そのくらいだろうか。その何も知らない無邪気な笑顔が僕の心をつかんで離さなかった。決して叶うことのない恋だと知りつつも。。。

少女との出会いはひと気の少ない荒んだ公園だった。緑が鬱蒼と生い茂り、光が届いていないかのような薄暗さのその公園。僕はその公園によく行っていた。

僕には家がない。

若くして社会から隔てた存在となっていた。住むところもなく毎日ふらふらと街を徘徊し、その場しのぎで生きている。次第に世間の目から遠ざかるように薄暗い場所を求めるようになっていた。そんな僕が好んで行っていたのがその公園だった。そこの明るさは僕の心の色と似ていたからかもしれない。

その日も僕はその公園にいた。独りの世界に閉じこもりただただ生が費えていくのを待っていた。そこにその少女はやってきたのだった。ブランコも滑り台もないその公園で何をするわけでもなく少女ははしゃいでいた。ふと、僕を見つけると、僕の元へとことこと駆け寄ってきて、「ねえ、お腹でも痛いの?」と、その大きな瞳で僕を見つめながら尋ねてきた。急のことに僕が戸惑っているうちに母親らしき人に呼ばれ、二人でその公園を後にした。

それだけのことだった。

たったそれだけのことで僕の心はその少女のものとなってしまった。人目を避け、社会から消えようと生きていた僕にとって、少女が「僕のことを気にしている」という事実がどれほど暖かく感じられたことか。他人の心に『僕』という存在が確かにあることのすばらしさに、その一言で気づかされたのだった。それ以来、僕は少女を追いかけるようになった。


今、僕は走っている。少女が泣いているから。助けて欲しい、と泣いているから。どこかで泣いているから。どこかで。どこで?どこでもいい。僕はどこにだって行く。必ず彼女を助けてみせる。

どのくらいの時間走ったのだろう。僕の知らない町並みが横を流れ出した頃、その少女を見つけた。少女は川で溺れていた。どのくらい少女が溺れていたのかわからない。僕が少女を探し始めた頃から溺れていたのかもしれないし、たった今少女が溺れ、こうなることを感じずっと僕は走っていたのかもしれない。

もはやそんなことはどうでもよかった。目の前で大切の人が溺れているという事実と少女を助けたいと思う僕の気持ちがあれば自ずと答えは導かれた。僕は此の方泳いだことなどなかった。水に対する恐怖心も若干あった。それでも僕は川へと飛び込んでいた。助けられるかどうかなんてわからない。でも、飛び込むことは出来たから。僕にできることはそれだけだったから。。。

水の中で僕が何をしたのか覚えていない。ただ意識が遠のいていく中で、人が騒いでいるのと、少女の声が陸の上で響き渡っているのを確かに聞いた。

そして、そのまま僕は意識を失った・・・・・・・



いつの日かの公園―――。
「僕」が公園の木々から零れてくる光に眩しそうに顔を顰めている。どこかの家から聞こえてくる「ミーちゃーん。ご飯よー。」という声に耳をピクリと反応させ、身体を翻した。軽やかに四つの足が大地を蹴り、踊るように駆け抜けて行ったその公園にはリンと鳴る首につけた鈴の音だけが残されていた。
posted by natto at 22:29| Comment(10) | TrackBack(0) | 読み物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作品で、人を愛することのすばらしさ、生きる上で大切なこと、そういったものを伝えたいと思いこれを書きました。

うそだよー(^^)
Posted by natto@管理人 at 2007年01月09日 22:31
nattoさんこういうの好きだね。
Posted by たくろう at 2007年01月09日 23:15
nattoさんが溺れていたら…
もちろん私すぐに飛び込みますよ(^O^)/
たぶんねっ(笑)
Posted by shie at 2007年01月09日 23:29
いよっ、ロリコン!

って思いながら読んでました。

やっぱり猫はいい。
Posted by りんぐ at 2007年01月10日 00:42
そうだな、名前は黒い幸、ホーリーナイト^^
ん?
Posted by 肉好き男 at 2007年01月10日 14:14
最後までまともでかなりの衝撃を受けました。
Posted by ojousama at 2007年01月10日 21:42
>たくろうさん
そうなのよね。
だけどダメね。書けないね。こういうの。

>しえさん
えーと、心臓よし。
えーと、パンツよし。
えーと、水温よし。
じゃあ、今から川に飛び込むから!

>りんぐさん
ロリコンには違いないのだけれど、
僕は犬が好きです。
いや、猫もいいなー。熊でもいいなー。

>肉好き男さん
そんないいもんじゃねーよ、ばっきゃろー
で、ホーリーナイトってなに?

>ojousama
ま、まるで普段がまともじゃないみたいじゃないですか!
やめてください。
やめてくださいよ・・・そ、そんなところを・・・
Posted by natto at 2007年01月10日 22:47
よかったぁ 幼女がでてきたからどおなるコトかと思ってハラハラした
ある意味サスペンス小説
カワいせつないカンジでよかったデス
コレ書いたあとゼッタイ照れてたでしょ てれんなよ♪
Posted by なみ at 2007年01月11日 04:12
えっ?なになに?ホームレスのおじさんはどうなっちゃったの?
Posted by ハラキリ at 2007年01月11日 10:43
>なみさん
て、てれてなんかいねーよっ!
泣いてねーよっ!
もうこんなの書かない

>ハラキリさん
半年ROMってろ
Posted by natto at 2007年01月12日 00:38
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。